財布を買い替えるなら春がいい、と聞いたことはないでしょうか。デパートの財布売り場で、桜の季節になると「春財布」という言葉を目にする機会が増えます。語呂合わせから生まれたこの言い伝えは、いまや財布選びの一つの目安として定着しているようです。今日は、春財布という縁起の由来と、財布を新調するタイミングにまつわる言い伝えを天啓の防壁がご紹介します。

「春財布」は語呂合わせから生まれた

「春財布」という言葉は、「春(はる)」を「張る」に掛けた語呂合わせから生まれたとされています。財布の口が大きく張る、つまりお金がよく入ってくる財布になる、という縁起を担いだ言い回しです。実際に春の気候そのものが作用するという話ではなく、あくまで言葉の響きから生まれた縁起として広まってきたものとされています。

新調の時期をめぐる、いくつかの言い伝え

財布を新しくするのに良いとされる時期については、春財布のほかにもいくつかの言い伝えが伝わっています。「十二月のうちに新調し、財布を手に慣らしてから新年を迎える」という考え方や、月の満ち欠けにならって「満月の日に使い始めるとよい」とする説、六曜の大安や一粒万倍日など暦の吉日に使い始めるとする説が、よく語られています。地域や語り継ぐ人によって、どの説が有力とされるかは分かれているようです。

お金を入れる道具は、時代とともに姿を変えてきた

お金を大切に扱う道具そのものの歴史は古く、かつては紐で口を結ぶ「巾着」が広く使われていたとされています。紙幣が普及するにつれて、二つ折りや長財布といった現在の形に近い財布が一般化していったと言われ、道具の姿は変わっても「お金を丁寧に迎え入れる」という気持ちは、巾着の時代から連綿と受け継がれてきたのかもしれません。春財布という言い伝えも、こうした長い歴史の延長線上にある、ひとつの文化のかたちといえるでしょう。

使い始めの日を、自分で選ぶ楽しみ

財布は毎日手にする道具だからこそ、使い始めの日にちょっとした意味を持たせたくなるものです。誕生日、記念日、あるいは大安や一粒万倍日といった暦の吉日――どの基準を選ぶかは、使う人の好み次第です。財布そのものの色や形を選ぶ楽しみと同じように、いつから使い始めるかを選ぶことも、新調という行為に彩りを添えてくれます。

春財布にまつわる言い伝えは、財布を買い替えるという何気ない行為に、小さな物語を添えてくれるものです。次に財布を新しくする機会があれば、時期や日取りにひとつの意味を重ねながら、新しい一つとの付き合いを楽しみに始めてみてはいかがでしょうか。