一日のうちに複数の神社を参拝する「神社のはしご」は良くない――そんな話を耳にしたことがあるかもしれません。神様同士がけんかをしてしまう、というのがよく語られる理由です。今日は、この俗説がどこから来たものなのか、そして複数の神社を巡る際に心がけたいことを天啓の防壁がご紹介します。

「神様がけんかをする」という俗説

神社のはしごを避けるべきだとする理由として、「複数の神様に一日でお参りすると、神様同士が張り合ってしまう」という説がよく語られます。しかし、この説を裏づける確立した典拠は見当たらないとされています。多くの神社仏閣を巡ること自体を戒める、確かな出典を持つ教えは知られていません。

複数の社寺を巡る伝統的な習わし

むしろ日本には、一日のうちに複数の神社や寺院を訪ね歩くことを前提とした伝統的な習わしが古くから存在します。御朱印を求めて社寺をいくつも巡る方や、正月に何社もの神社へ初詣に出かける方は少なくありません。こうした習わしが広く親しまれてきたことからも、はしご自体を一律に否定する確かな根拠は見当たらないといえそうです。

気をつけたいのは、神様同士の相性ではなく気持ちの余裕

俗説そのものに確立した根拠は見当たらない一方で、「はしごをすると急ぎ足になりやすい」という指摘には、一理あるかもしれません。次の神社への移動時間が気になって、目の前のお参りに集中できなくなってしまっては、少しもったいないことです。控えたほうがよいとすれば、それは神様同士の相性ではなく、参拝する側の心の余裕についての話なのかもしれません。

心がければよいのは、一社ごとの丁寧さ

大切なのは、はしごをするかしないかそのものより、訪れた一社ごとに心を込めてお参りをすることではないでしょうか。次の神社へ向かう前に、一度立ち止まって、その場所への感謝を伝える時間を持ちたいものです。数を巡ることだけを目的にしてしまうと、一社一社への向き合い方が疎かになってしまうことも考えられます。手を合わせる相手が一柱であっても複数であっても、心の向け方そのものは、いつでも変わらないはずです。

神社のはしごを気にするあまり、参拝そのものを窮屈に感じてしまってはもったいないことです。今日はまず一社、心を込めてお参りをする――その積み重ねが、複数の社寺を巡るときにも、きっと同じように活きてくるはずです。