「ゲンを担ぐ」という言い回しを、日常でふと使うことはないでしょうか。試合の前に験を担いだ行動をとる、大事な日には縁起のいいものを身につける――こうした習慣を指す言葉ですが、この「ゲン」という響きの由来には、いくつかの説が伝えられています。今日は、「ゲンを担ぐ」という表現の語源を天啓の防壁がご紹介します。
「験(げん)」は、効き目やしるしを意味する言葉
「験」という漢字は、もともと「効き目」「しるし」を意味する言葉として使われてきたとされています。「験がある」といえば効果があるということ、「験を担ぐ」といえば、その効き目やしるしを大切に扱う、という意味合いになります。この「験」という漢字がそのまま「げん」と読まれ、「ゲンを担ぐ」という言い回しの土台になったとする説が知られています。
「縁起」をひっくり返して読んだ、という説
もう一つ広く知られているのが、「縁起(えんぎ)」という言葉が元になっているとする説です。江戸時代の職人や芸人のあいだでは、言葉をひっくり返して読み替える符牒(ふちょう)の文化が好まれていたとされ、「縁起」を音の順に崩して「ぎえん」と読み、それがさらに転じて「げん」になった――というのがこの説の流れです。堅苦しい言葉を少し砕けた響きに変える言葉遊びの延長にあったとも考えられています。
「縁起を担ぐ」との関係
似た表現に「縁起を担ぐ」がありますが、上記のとおり「ゲンを担ぐ」の由来を縁起に求める説を採るなら、この二つはもともと同じ言葉から分かれた、近しい間柄だったのかもしれません。験に由来する説を採るか、縁起に由来する説を採るかで見え方は変わりますが、はっきりとどちらか一方に決められるものではないようです。日常では区別なく使われることも多いこの二つの言葉ですが、由来を知っておくと、ふとした会話のなかで話の種になるかもしれません。
言葉の由来を知ると、担ぐ気持ちも変わる
何気なく口にしている「ゲンを担ぐ」という言葉にも、こうした由来があると知ると、次に験を担ぐときの気持ちも、少し違って感じられるかもしれません。言霊と験担ぎでもご紹介したとおり、言葉そのものにも、暮らしを整える力が宿っているようです。