初詣や旅先の社寺で、お札(お神札・お札)を受けて帰ったものの、「これ、どこに置けばいいのだろう」と部屋の隅で困ったことはありませんか。神棚のある家が少なくなったいま、お札の置き場所に迷うのは、ごく自然なことです。今日は、神棚がなくても始められる、お札の祀り方のお話です。
お札とお守りの違い
お守りが「身につけて持ち歩く」ものだとすれば、お札は「家に据えて、住まいごと見守っていただく」ものとされています。持ち歩く小さな防壁と、家に立てる動かない防壁。役割が違うので、どちらが良いというものではなく、対で考えると分かりやすい間柄です。
置き場所の目安 ― 三つの心がけ
お札の祀り方に、家庭ごとの事情を超えた厳格な決まりはありませんが、一般的な作法として親しまれている目安が三つあります。
- 目線より高い場所に――見下ろす位置ではなく、少し見上げる高さに置くのが良いとされています。本棚や食器棚の上段など、清潔で安定した場所が候補です。
- 文字の面を南か東へ――お札の正面が南または東を向くように置くのが良いと伝わります。部屋の間取りで難しければ、こだわりすぎなくてかまいません。「明るいほうを向いていただく」という心持ちが本意とされています。
- 人が集まる清潔な部屋に――納戸や物置ではなく、居間のように家族の気配がある場所が良いとされています。ただし、扉の真上など人が慌ただしく行き交う真下は避けるのが習わしです。
立てかける台がなければ、白い紙や小さな板を敷いた上に立てるだけでも丁寧な祀り方になるとされています。画鋲などでお札に直接穴を開けるのは避け、壁に留めたい場合は台紙のほうを留める心づかいを。
複数のお札はどうする?
複数のお札を受けている場合、重ねて祀るなら伊勢の神宮のお神札を手前に、次に氏神さま(住まいの土地の神社)のお神札を、という順が一般的な作法として知られています。横に並べる場合も、中央にお神札、向かって右に氏神さま、と伝わります。とはいえ、これも家庭の事情に合わせてよいもの。窮屈に考えて祀ること自体をやめてしまうより、できる形で丁寧に、が何よりです。
一年経ったら ― お札の返し方
お札は一年を目安に、受けた社寺へ感謝とともにお返しし、新しいお札を受けるのが習わしとされています。多くの神社には古いお札やお守りを納める納札所が設けられており、遠方で受けたお札は近くの神社で相談できることもあります。年末年始の「古札納め」やどんど焼きの行事も、この節目のためのものです。役目を終えたお札をごみとして扱わない、という心づかいだけ、覚えておきたいところです。
祀るという言葉は大げさに聞こえるかもしれませんが、その中身は「清潔な場所に置いて、時々気にかける」というだけの、小さな習慣です。ふと目を上げた先にお札がある。それだけで住まいに一本、静かな柱が通ります。参拝の作法は神社参拝の作法で、持ち歩くお守りについてはお守りの選び方と持ち方でご紹介しています。あわせてお楽しみください。