誰かに贈り物を選ぶとき、喜んでもらえそうなものを一生懸命考える一方で、実は「贈るのは控えたほうがよい」とされる品もあることをご存知でしょうか。刃物やハンカチ、靴――日常でよく目にする品ながら、贈答の場面では言い伝えとともに語られてきました。今日は、贈り物にまつわるタブーとされる言い伝えを天啓の防壁がご紹介します。
刃物 ― 「縁を断つ」につながるという言い伝え
包丁やはさみなどの刃物は、「縁を切る」ことを連想させるとして、贈り物には向かないとされてきました。新居祝いや結婚祝いの場面では特に避けられる傾向があるようです。ただし、料理好きの方への贈り物としてあえて選ばれることもあり、相手に代金の一部を払ってもらうことで単なる贈与ではなく「売買」の形にし、言い伝えを和らげる工夫が伝わる地域もあるとされています。
ハンカチ ― 「手巾」から「別れ」を連想する言い伝え
ハンカチは漢字で「手巾(てぎれ)」とも書かれることから、「手が切れる」つまり縁が切れることを連想させるとして、特に目上の方への贈り物では避けられることがあるとされています。一方で、白いハンカチには清らかさの意味を重ねる見方もあり、地域や場面によって受け止め方には幅があるようです。
靴・靴下 ― 「踏みつける」という読み方をされることも
靴や靴下は、目上の方に贈ると「踏みつける」という意味に受け取られかねないという言い伝えがあるとされています。足元に身につける品を贈るという行為が、相手を下に見ているように読めてしまう、という理屈から生まれた気遣いのようです。もっとも、旅行や新生活の贈り物としては人気の高い品でもあり、親しい間柄であれば気にしない方も多いようです。
言い伝えより、相手を思う気持ちを
こうしたタブーの多くは、贈り物という行為に「縁を大切にしたい」という願いが込められてきたからこそ生まれてきたものといえるでしょう。もし気になる言い伝えがある品を選ぶ場合は、一言メッセージを添えるだけでも、贈る気持ちはしっかりと伝わるはずです。品物そのものより、相手の顔を思い浮かべながら選んだ時間こそが、いちばんの贈り物なのかもしれません。