おみくじを結んで帰る、その光景に見覚えのある方は多いのではないでしょうか。境内の木の枝や、専用に用意された結び所に、白い紙が幾重にも結ばれている風景は、神社ではよく見かけるものです。一方で、おみくじを財布や手帳に挟んで持ち帰る方も少なくありません。今日は、この二つの作法の由来と考え方を天啓の防壁がご紹介します。
「結ぶ」ことに込められた言い伝え
おみくじを境内に結んで帰る習慣には、凶などのよくない運を境内に留め、神様の力によって清めてもらうという言い伝えがあるとされています。逆に、吉のおみくじは持ち帰って身につけることで、その運を自分のもとに保つという考え方も伝わっています。結ぶという行為そのものに、神様との縁を結び直す意味合いが込められているとも言われています。松の木に結ぶ習わしには、「待つ」に通じる音から、願いの叶う日を待つという意味が重ねられているとする説もあります。
木を守るため、結び所が増えている
かつては境内の松や杉の枝に直接結ぶことが一般的でしたが、近年は木の成長や健康を守るため、専用の結び所やロープを用意する神社が増えてきました。木の枝に紙を結びつけることが、樹皮を傷めてしまう一因になるとされているためです。案内があれば、指定の場所に結ぶのが望ましい作法と言えるでしょう。境内の木々を長く守っていくための、時代に合わせた工夫のひとつと言えます。
持ち帰って保管するという楽しみ方
おみくじを持ち帰る場合、財布や手帳に挟んで日々の心構えにする方もいれば、専用のファイルに集めていく方もいます。書かれている和歌や言葉をあとから読み返すと、そのときの自分の心境がふと蘇ってくることもあるようです。持ち帰るという選択肢にも、境内に結ぶのとはまた違った静かな味わいがあります。訪れた社寺ごとに集めていけば、旅の記録のような一冊にもなっていくでしょう。
結ぶか持ち帰るか、その場の考え方
結ぶか持ち帰るか、そのどちらに大きな優劣があるわけではありません。神社によって案内が異なることも多く、迷ったときは掲示や授与所の説明に従うのが安心です。大切なのは、おみくじという神様からのひとことに、どのように向き合いたいかという自分自身の気持ちではないでしょうか。
次におみくじを引いたときは、結ぶか持ち帰るか、その場の気分で選んでみてください。境内に結んで身軽に帰るのも、手元に置いて折々に読み返すのも、どちらもおみくじとの立派な付き合い方です。二つの作法、どちらも尊重しながら、自分に合った形を見つけていただければと思います。