窓の外で雨が静かに降り続く夜、明日は晴れてほしいと願いながら、白い布で作った小さな人形を軒先に吊るしたことがある方もいるでしょう。てるてる坊主は、今も昔も変わらず、天気への願いを託す素朴な習わしとして受け継がれています。遠足や運動会の前夜、子どもの頃に手を動かした記憶がある方も少なくないはずです。特別な材料もいらず、白い布とひもさえあれば誰でも作れる手軽さも、長く親しまれてきた理由の一つなのかもしれません。今日は、てるてる坊主のならわしと、その由来を天啓の防壁がご紹介します。
掃晴娘という、中国の人形が起源とされる説
てるてる坊主の起源については、中国で古くから伝わる「掃晴娘(そうせいじょう)」という、ほうきを持った紙人形にあるとする説がよく知られています。元の時代の頃から、晴天を願うまじないとして、この人形を軒先に吊るす風習があったとされています。ほうきで雲を掃き払う姿に、晴天への願いが重ねられていたのかもしれません。
江戸の頃から日本に広まったならわし
日本では、江戸時代にはすでにてるてる坊主が親しまれていたとみられ、当時の浮世絵にもその姿が描かれています。由来には諸説あり、雨をやませることができなかった僧が罰せられたという、いくぶん痛ましい言い伝えも一部に伝わっているとされていますが、いずれも確かな史実として断定できるものではありません。大正時代には童謡としても歌われ、より広く親しまれる存在になったとされています。
逆さに吊るすと、雨を呼ぶという言い伝え
てるてる坊主は、頭を上にしてまっすぐ吊るすのが晴れを願う形とされ、逆さに吊るすと雨を願う意味になるという言い伝えがあります。同じ人形でも、吊るし方ひとつで願いの向きが変わるというのは、なんとも興味深いところです。吊るす向きにまつわる南向き・北向きの言い伝えも、地域によって残っているとされています。
顔は、願いが叶ってから描くという習わし
本来は、作るときには顔を描かず、無地のまま吊るしておくのがならわしだったとされています。そして翌日に願いどおり晴れたなら、お礼として顔を描き入れ、感謝の気持ちを表す――そんな一連の流れそのものが、てるてる坊主という習わしの本体だったのかもしれません。
顔を描かないまま吊るされたてるてる坊主は、まだ何も約束されていない、明日への静かな願いそのものの姿ともいえます。だからこそ、晴れて初めて描き入れられる笑顔には、感謝の気持ちがそのまま映し出されるのでしょう。
雨が上がり、久しぶりの陽が差し込む窓辺に、笑顔を描き入れたてるてる坊主が揺れている――そんな明日の情景を思い描きながら、今夜も軒先に一体、そっと吊るしてみてはいかがでしょうか。