赤いだるまを思い浮かべると、丸い顔に太い眉、白目に黒々とした瞳という姿が浮かぶ方が多いのではないでしょうか。赤一色というイメージが根強いだるまですが、実際には金色や黄色、白色など、さまざまな色のだるまが授与所や縁起物店に並んでいます。今日は、だるまの色にまつわる意味を天啓の防壁がご紹介します。
なぜ赤が主流になったのか
だるまが赤色で作られるようになった背景には、赤色に魔除けや火伏せの力があるとされてきた古い信仰があると言われています。赤は疫病や災いを退ける色として、御札や装束にも古くから用いられてきました。だるまが縁起物として広まる過程で、この赤の力が重ね合わされ、現在のような姿として定着していったとされています。養蚕や商売の縁起物として地域ごとに広まっていった経緯も、赤という色の定着を後押ししたと考えられています。
金・黄・白 ― 願いごとに合わせて選ばれる色
近年では、金色は金運、黄色は学業成就、白色は合格祈願というように、色ごとに異なる願いを託す風習が広まっています。恋愛成就には桃色、健康長寿には緑色を選ぶという案内を目にすることもあります。こうした色分けは地域や生産地によって多少の違いがあり、決まりごとというより、選ぶ楽しみを広げる目印として親しまれているようです。同じ願いごとでも、置き方や大きさによって印象が変わるのも、だるまならではの面白さでしょう。
色の意味づけは、比較的新しい広まり
だるまの色に細かな意味を持たせる考え方は、赤一色の伝統に比べると比較的新しい時期に広まったとされています。生産地の工房や販売店が、選ぶ人の願いごとに寄り添えるようにと色のバリエーションを増やしていったことが、今のような多彩な色合いにつながったと考えられています。伝統的な赤の由来と、後から加わった色の意味、双方を知っておくと、だるまへの見方が少し豊かになるかもしれません。
目に何を描くかは、また別のならわし
だるまといえば目を描き入れる作法もよく知られていますが、その手順や意味については、また別の機会に譲りたいと思います。今回ご紹介したのは、あくまで色そのものが持つとされる意味合いです。色を選ぶ段階から、すでにその人の願いごとが少しずつ形になり始めているのかもしれません。
だるまを手に取る機会があれば、まずはどんな願いごとを託したいかを思い浮かべ、それに合う色を選んでみてはいかがでしょうか。赤の落ち着いた佇まいも、金や白の華やかさも、それぞれに異なる表情を持っています。色を選ぶという小さな時間そのものを、縁起物との付き合い方のひとつとして楽しんでいただければと思います。