庭先や玄関のそばで、冬に赤い実をつける木を見かけたことはありませんか。その木が「南天(なんてん)」であれば、古くから縁起の良い木として大切にされてきた植物かもしれません。今日は、南天にまつわる言い伝えと、その名に込められた意味を天啓の防壁がご紹介します。
「難を転じる」という、言葉遊び
南天という名前は、「難を転じる」という言葉に通じることから、縁起の良い木として親しまれてきたとされています。日本では古くから、言葉の響きに意味を重ねる言い伝えが数多く伝わっており、南天もその一つとして、災いを福に転じる木と考えられてきたようです。
鬼門や玄関先に植えられてきた理由
南天は、家の鬼門にあたる方角や、玄関先、トイレの近くなどに植えられることが多いとされています。災いが入りやすいとされる場所に、難を転じる木を配することで、家全体を守るという願いが込められてきたという言い伝えがあります。庭木としてだけでなく、鉢植えで玄関先に置くご家庭も少なくないようで、限られた庭のスペースでも取り入れやすい木として親しまれているようです。
お正月の飾りに添えられる赤い実
南天の赤い実は、おせち料理や鏡餅の飾りに添えられることもあるとされています。赤い色そのものが魔除けの意味を持つと言われてきたことに加え、「難転」の言葉が重なることで、新年の飾りにふさわしい木として選ばれてきたようです。白い実をつける「白南天」もあり、こちらは「南天」に通じつつも、また違った趣で親しまれています。
言葉に願いを託すという、日本人の感覚
南天のように、名前の音や響きに願いを重ねて縁起を担ぐという発想は、日本の暮らしの中に数多く見られます。同じ音を持つ言葉に別の意味を重ねる遊び心は、南天に限らず、さまざまな縁起物の由来に共通して見出せるもののようです。実際に難を防ぐかどうかにかかわらず、その木を見るたびに「難を転じる」という言葉を思い出すこと自体に、心を整える意味があるのかもしれません。
赤い実をつけた南天を見かけたら、その名に込められた言葉遊びを思い出してみてください。難を転じるという願いが、小さな赤い実の一粒一粒に、そっと重ねられているのかもしれません。